DVDトールケースをVHSっぽくした
DVDトールケースを買った。
雑誌の付録のディスク類の保管に困っていたからだ。
付録のDVDやCD、つまりケースのないディスク類、気づいたら家にそこそこの量があった。
前までは5mmのスリムケースを大量に買って、1枚1枚そこに保管していた。余裕があるときには自作で背ラベルを作ったりもした。
ただ、どうも限界が来ていた。面倒だし、ラベリングしないと探しづらい。それにかさばる。思いきって複数枚収納できるケースを買うことにした。
色々考えて、これを選んだ。
ディスクの接地面もスリムケースと同じプラスチックでしっかりしてそうだな、12枚セットが3個っていうのもほどよい収納量だな、と思ったので。
注文した翌日、想像通りのものが届いた。
ケース1つに12枚入るということは、これ1つで5×12=60mm、つまりスリムケース6cm分のディスクが収納できるのだ。しかもこれ、厚さは27mm。半分以下になる。
高さは増えたけど、市販のDVDトールケースと同じ高さだから収納スペースには困らない。つくづくいい買い物をした。
だけど、サイズになんだか見覚えがある気がする。
慌てて家の中をまさぐった。
あれは確か、文庫本などの冊子の収納にひと役かっていたはずだ。
そう、VHSサイズのビデオテープと大きさがそっくりだったのだ。
VHSとは、DVDのひとつ前世代の家庭用映像記録媒体である。
私はこれを「ビデオ」と呼ぶ。ただ、ややこしいことにVHSじゃないビデオもあったりするので、なるべく混乱を招かないような書き方をしたい。
DVDならうちに何枚もある。でも、今までそれを見て「ビデオのサイズだな」なんて思ったことは一度もなかった。それが、今回買ったトールケースを見て、急に「ビデオのサイズだ!!」と思ってしまった。どうにも唐突である。
おそらく、厚みが一番の要因な気がする。
DVDケースのサイズは長辺191×短辺136×厚さ14ミリ、
VHSビデオのサイズは長辺188×短辺104×厚さ25ミリ、
今回のDVDケースのサイズは長辺191×短辺136×厚さ27ミリ。
つまり、今まで似ても似つかないと思っていた2つのものが、実は元々似た長さを持っていた上、今回厚みまで近いものが出てきたので、「ビデオだ!」と急に気づいてしまったわけである。ばらばらの好きな曲を聞いていたはずなのに、よくよく調べたら作詞作曲が全て同じ人だった、みたいな衝撃に近い。
しかも今回、VHSとDVDである。進化したはずがいつの間にか先祖返りしていたようなものだ。結局人間、同じようなものは同じような大きさで保管するんだろうなあ、と思った。
ただ、VHSは透明ではなかった。
確かにクリアオレンジとか、スケルトンカラーのVHSはあるにはあったけど、基本、VHSは真っ黒だった。
じゃあ、黒い紙を巻けばちゃんとVHSっぽく見えるんじゃないか。
100均で色画用紙を買ってきた。
これの黒をDVDトールケースと同じ大きさに切って巻けば、それなりにVHSっぽく見えるんじゃないんだろうか。
切った黒画用紙をケースに巻く。
それっぽいけど若干の怖さがある。なんでだろう。
黒画用紙の質感がよくなくて、プラスチックみたいな光の反射がないから、中身がわからない怖さがあるのかもしれない。ガワが紙だから、実は本だという可能性も捨てきれない感じがある。
これは、中身がわかるようにラベルを貼った方が親切な気がする。そう、あのVHSラベルを。
VHSのラベルを貼る。
それなりにそれっぽくなった気がする。
ケースも乗っけるとVHS感が増した。ひと通り満足した。
ただこのDVDケース、カラーバリエーションが存在する。透明、白、そして黒。さっきまで色々とやっていたのは透明だ。
じゃあこれ、黒なら余計にVHSっぽく見えるんじゃないか。
ということで、2セット目のトールケースが我が家にやってきた。
さっきと同じラベルを貼り、ケースを乗っけて写真を撮る。
さっきよりすごいそれっぽい。この写真だけぱっと見せられたら、私だったら普通にVHSと見間違えてしまう。ラベリングの魔力ってこういうことかもしれない。
せっかくなので、ラベルになにかを書いてさらにリアリティをもたせたい。
「紅白歌合戦」はどうだろう。放送日も毎年固定だし、日付も書き込んでリアリティを持たせるにはぴったりなはずだ。
ここまで来たらカメラ側も工夫したい。
日付が入るアプリで撮る。
ここまできたらもう、アルバムの立派な1ページだ。
色々とやっていたら、我が家がVHSだった頃の色んな記憶がよみがえってきてしまった。黒いケースはラベルを剥がして、目につかないところにしまっておきたい。
別にVHSのふりをさせなくても充分役立つので、片付けたい人はぜひ。